令和2年4月法学部発行紹介冊子からの抜粋ですが、その後本人の許諾を得て内容等を一部変更している場合があります。

吉山 昌 よしやま あきら

難民支援協会

1976年兵庫県生まれ。灘高校出身。2000年法学部卒業。在学中(1999年)に認定NP0難民支援協会の設立に参画。卒業後、経営コンサルティング会社勤務を経て、難民支援協会に入職し、現在、広報・ファンドレイズを主に担当している。また、難民の起業による経済的自立を支援する、公益社団法人難民起業サポートファンドの代表理事も務める。

難民支援NGOの経営につながる
法学部での学び

私は、日本に逃れてきた難民を包括的に支援しているNG0、難民支援協会で働いています。この団体は、紛争や人権侵害を逃れて日本で保護を求めている難民に関して、法律面や生活面、就労に向けた準備などの直接支援、政策提言や認知の拡大などに取り組んでいます。私は、前職の経営コンサルタントの経験も生かしながら、事務局がより良い成果を出せるよう、組織基盤の強化や資金調達などの役割を担ってきました。

法学部時代、私は決して真面目な学生だったとは言えません。ただ当時から、“外国人問題”や難民問題、人権への関心を強く持っていたことから、国際法や比較政治および行政に関する科目の履修やゼミに重心を置いていました。そして、学生時代に難民支援に関わりはじめた時、日本で難民が置かれている状況をどう捉え、解決していくべきか、また活動や組織をどう作るべきか、法的にも政治的にも考えることとなりました。

現在、大学で学んだことから少し離れた仕事をしています(難民支援に欠かせない弁護士になったならば、そのまま役立ったはずですが!)。しかし、一つーつの仕事、活動で「本来」あるべき姿に直面する際に、身についた考え方が生きていると感じることがあります。現在の難民認定の状況、審査プロセスは妥当と言えるのか? 私たちの支援において難民とどのような関係を持つべきか? 協業先との契約はフェアなものか? スタッフはどのように処遇されるべきか?……特に現在は団体での様々な業務において、功利も権利も見据え複数の軸を持って判断をできているのも、職業経験だけでなく、大学時代の学びも活きているからだと考えています。

私の場合、大学時代の学びと「問題」への関わりが、相互に影響を与えました。皆さんも何か問題意識を持って進学をされたでしょう。最終的にどのような仕事をするにせよ、長く活かせる本質を得るべく、学びにトライし続けていただきたいと思います。