法学部長からのご挨拶
法学部長 唐渡 晃弘
このような伝統を育んできた背景に、京都大学のもつ自由の学風、その要をなす自学自習の精神があります。それは難しい問題に出合っても自ら調べ考えて解決をめざすという学びの態度であり、専門分野の研究に研鑽を積んだ教員は、苦闘する学生に「こたえを教える」のではなく、自由闊達な討論を通してより深い真理をともに明らかにしていくように接してきました。この知的営為は本法学部の教育の根幹をなし、今後も変わることなく受け継がれていくものと考えています。
本法学部は、刻一刻と変化する社会状況にも鋭敏かつ柔軟に対応してきました。制度的な対応として、カリキュラムの大幅な改正をおこないました。本法学部は、平成29(2017)年度以降の入学者について、高い能力を持ち、より早く法曹として活躍したいと希望する学生が学部を3年で卒業することができる早期卒業制度を京都大学では初めて導入しました。次いで、令和2(2020)年度から、京都大学法科大学院の教育課程と連携した法曹養成のための教育プログラム「法曹基礎プログラム」を開設しました。このプログラムは平成31(2019)年度以降の入学者を対象とし、学部入学から最短5年間で法科大学院を卒業できる制度です。さらに、これを機に、専門科目の配当学年及び開講期を全般的に見直すとともに、法学・政治学のリテラシーを鍛える少人数科目の新設を並行して進め、令和3(2021)年度の入学者からは、新たなカリキュラムのもとで法学・政治学を学んでいます。
本法学部・法学研究科には、令和5(2023)年4月現在、教授55名、准教授7名、さらに主として法科大学院の教育にあたる実務家教員4名が在籍し、それぞれの専門分野において一線級の研究を行い、その知見を生かし、学生自身による自学自習を支える教育を行っています。こうして一人一人に学問の奥深さや学び、考えることの喜びや楽しさを体得してもらい、社会が求める有為な人材を育てることを通して、本法学部に期待される社会的使命を今後とも着実に果たしていきたいと考えています。