刑事法という言葉を聞いて,皆さん何を思い浮かべますか?人が殺されたとき,あるいは大きな事故が起きたとき,ニュース番組は事件を大々的に報道しますね。よく聞いてみると,「警察は,X罪の疑いでAを逮捕し,事情を聞いています」のようなフレーズが流れてくることに気付くでしょう。犯罪と刑罰に関係する法を取扱う刑事法は,こうした報道内容と密接に関連しており,したがって皆さんの日々の生活と深く関係する法だということができるでしょう。

京都大学では刑事法を,犯罪と刑罰のあり方について定めた刑法,犯罪捜査や刑事裁判のあり方について定めた刑事訴訟法,学際的な視点から広く刑事法全般のあり方について考察する刑事学という三つの分野に分けて学びます。刑事法は,犯罪と刑罰を取扱うというその性質上,文字通り人の生死に関わる深刻な問題を数多く取扱います。こう言うと,皆さんの中には刑事法を学ぶことについて気後れする人がいるかもしれません。しかし,刑事法を通じて,人や社会のあり方について深く学ぶことは,未知の問題が日々生起する現代社会を生き抜く上で,かけがえのない財産になることと思います。

ここ京都大学で,皆さんと新たな難問に取組めることを心待ちにしています。

民刑事法(刑事法)/刑事学
稲谷 龍彦

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