国際法は、「世界」を相手にする法学分野です。法学の多くの分野では基本的に一つの国(たとえば日本)の中で起こる問題への解決法を探求しますが、国際法は、国の枠を越えて生じる問題を扱います。

私たちの衣食のような日常の問題であっても、「国の枠の中」で完結することはほとんどありません。日本製の服を日本の店で買ったとしても、その布地や繊維はほとんど外国産です。国産の牛肉もその餌はほとんど外国産ですし、国産の米も肥料のほとんどは外国産です。ということは、これらの全てに世界貿易機関(WTO)や経済連携協定・国際投資条約等が関係していることになります。日本近海で捕れたマグロを食べても、そのマグロ漁獲は中西部太平洋マグロ条約の規制対象です。どこかでヘイトスピーチがあれば人種差別撤廃条約違反が問題になるかもしれませんし、鉄道など公共交通機関のユニバーサルデザインは障害者権利条約により求められるものでもあります。もちろん、国際テロ、移民・難民、地球温暖化、戦争、領土紛争などが国際法の問題になるのは言うまでもありません。つまり、国際法は、「国際的」な人間活動のありとあらゆるものを対象にするのです。グローバル化が進む時代において、国際法の重要性は増す一方です。

かつては、国際法を使う仕事と言えば、外交官か国際公務員(国連などの職員)にほぼ限られていました。しかし、これだけ我々の日常に国際法が入り込んできていますので、外務省以外にも経産省・環境省・防衛省・農林水産省などの官庁でも国際法は頻繁に用いられますし、弁護士の中にも国際法を使って仕事をする人が増えてきています。そのような進路を目指す学生のため、京都大学では、法学部・法科大学院・公共政策大学院に多くの国際法関連科目を開講しています。

さらに、京都大学は、伝統的に国際法のプロとしての研究者を輩出しています。国会のような立法権や裁判所のような司法権を当然には前提にできない国際社会における法の役割と機能とを理論的に明らかにすると共に、その理論的・学問的知見をどのように実践に結びつけていくかを考え、外交官や弁護士などの実務家と協働したり、自ら国連や国際司法裁判所などの場で活動したりする、理論と実践とに通じた研究者が次々に育っています。大学院(法政理論専攻)では世界各地からやってきた多くの留学生や研究者たちと日常的に切磋琢磨する場が用意されています。

公法(国際法)/国際法分野
浅田正彦
酒井啓亘
濵本正太郎

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