京都大学大学院法学研究科について
法学研究科長 洲崎博史

1.はじめに

法学研究科長の洲崎です。このたび、京都大学法学部・法学研究科ではHPを一新し、関係の皆様方に対してもよりわかりやすい形で情報発信を行っていくことになりました。このページでは、法学・政治学の研究者を志す人や法学・政治学にかかる高度専門職に就いている人に向けて、京都大学法学研究科(正確には「京都大学大学院法学研究科」ですが、以下では、京都大学法学研究科または本研究科といいます)における研究・教育について紹介をします。

2.「法政理論専攻」と「法曹養成専攻」

京都大学法学研究科は、大学を卒業した人(学士)がさらに学びを深めるための大学院です。もともとは修士課程(2年)とそれに続く博士後期課程(3年)から成る、法学・政治学研究者を養成する場でしたが、平成16年の法科大学院制度創設に伴い、本研究科は「法政理論専攻」と「法曹養成専攻」という二つの専攻に分けられました。法政理論専攻は、研究者養成という本研究科の従来からのミッションを継承する専攻であり、修士論文や博士論文の執筆を通じて研究能力を涵養することを目的とします。もっとも、近年は、研究者養成という伝統的なミッションに加えて、高度専門職業人の教育・研究指導というミッションにも積極的に取り組んでおり、受け入れる学生も多様になっています(後者のミッションについては4で紹介します)。これに対し、法曹養成専攻は、その名の通り、法曹養成を目的とする専攻であり、いわゆる法科大学院にあたります(法科大学院についてはこちらをご覧ください)

3.法政理論専攻における研究者の養成

本研究科は創設以来、法学・政治学におけるわが国の中枢的な研究拠点として学界を主導するとともに、学界を代表する多数の法学者・政治学者を生み出す母体となってきました。法政理論専攻は、本研究科のこのような実績・責務を引き継ぎ、次世代の研究者を養成する場となっています。

法政理論専攻でのトレーニングを経て研究者になるコースには様々なパターンがありますが、典型的なものを二つあげるならば、①修士課程(2年)を経て、本研究科法政理論専攻博士後期課程(3年)に進み博士論文を完成させる、②法科大学院(2年または3年)を経て、本研究科法政理論専攻博士後期課程(3年)に進み博士論文を完成させる、というものです。基礎法や政治学の研究者を目指す人は通例①であり、実定法の研究者を目指す人は②が多いですが、①で実定法の研究者になる人や、逆に②で基礎法の研究者になる人もいます。また、①の修士課程は本研究科の修士課程(法政理論専攻修士課程〔研究者養成コース〕)、他大学大学院の修士課程のいずれでも差し支えありませんし、同様に、②の法科大学院は、本研究科の法曹養成専攻(京都大学法科大学院)、他大学の法科大学院のいずれでも差し支えありません。このように、本研究科では様々なバックグラウンドを有する人材を受け入れ、少人数の授業と指導教員による論文指導を通じて博士論文の執筆を支援し、研究者として独り立ちできるようにしています。

法科大学院創設以降、全国的にみると実定法研究者の育成がうまく進んでおらず、このままでは近い将来わが国の法学部・法科大学院で必要な教員数が確保できなくなると危惧されています。そのような中、本研究科は平成16年の法科大学院創設以降一貫して法科大学院修了生を実定法研究者として養成することに取組み、相応の成果をあげてきました。このような取組みが評価されて本研究科の実定法研究者養成事業は国の予算措置を受けられるようになり、数年前から、法科大学院経由で本研究科法政理論専攻博士後期課程に進学した学生に様々な経済的支援・研究上の支援を提供しています(詳しくはこちら)。現在法科大学院で学んでいる皆さん、あるいはこれから法科大学院への進学を考えている皆さんの中には研究職に関心のある方もいらっしゃるでしょう。本研究科の博士後期課程に進み、研究者の卵たちと切磋琢磨しながら研究職を目指す、という途も皆さんの将来の選択肢の一つに加えていただきたいと思います。

4.法政理論専攻における高度専門職業人向けの教育と研究指導

本研究科では、研究者養成というわれわれの伝統的なミッションに加えて、企業実務家や実務法曹に本研究科を学習・研究の場として活用してもらう取組みを近年積極的に進めています。法学・政治学に関連する高度専門職の実務経験を有する人を博士後期課程に受け入れる社会人特別選考制度はこの10年の間に定着し、この制度により博士号を取得する人が何人も生まれています。平成27年度からは長期履修制度の導入や社会人特別選考入学者についての修了要件の緩和など、社会人が在職したまま研究指導を受け博士号を取得することを容易にするための改革を行いました。さらには、平成28年度から、法政理論専攻修士課程に、従来の研究者養成のためのコースとは別に、企業法務を中心とする先端的な法的問題に対応できる人材を養成するための「先端法務コース」を新設しました。現在既に企業や官公庁で法務を担っている社会人を念頭に置き、これらの方々に、先端的・専門的なスキルを習得する場として大学院を活用していただくことを企図したものです。

法学部や法科大学院を出て各界で活躍されている社会人の方々にも、さらなるキャリア形成に向けて本研究科法政理論専攻を活用していただければ有り難く存じます。

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