准教授
高谷 知佳
TAKATANI, ChikaLAST UPDATE : 2022.06.14
主要研究テーマ
前近代の法制史においては、成文法をもたず、法や司法機関のヒエラルキー、執行力、明確な人的・領域的適用範囲などを欠いたさまざまな時代や社会において、人々は何を規範としたかが主たるテーマとなる。都市という場は、法文化の先端であり、多様な人々が流動的に行き来し、利害対立や紛争が多発することから、そうした規範形成の先端的なあり方を示す。そのため、日本中世の大都市、特に、首都京都・権門都市奈良を対象として、比較都市法研究をテーマとする。
特に、法や裁判の正当性根拠として、公共性・宗教性・先例の尊重・儀礼などは、どの地域や時代においても何らかの規範となるが、それぞれの時代に「具体的に」どのような内容として観念されていたか、また、法や裁判を実質的に担保するものとして、文化・儀礼・ネットワーク・交渉チャンネルなどがどのような役割をはたしていたかなど、前近代特有の問題点に着目する。
主要研究業績
著書
- 2011年度
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- 東アジア怪異学会編『怪異学入門』岩田書院、2012、79-93頁
- 2016年度
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- 『中世の法秩序と都市社会』塙書房
- 2017年度
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- 『怪異の政治社会学』講談社選書メチエ
- 2018年度
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- 高谷知佳・小石川裕介編著『日本法史から何がみえるか』有斐閣
論文
- 2010年度
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- 室町期の大織冠像破裂-中世における宗教的法理の射程」『法学論叢』167-3、1-33頁
- 2012年度
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- 「中世奈良における商業紛争と権力」『比較都市史研究』31-2、15-27頁
- 「奈良徳政令の意思決定」『法学論叢』172-4・5・6 512-528頁
- 2013年度
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- 「『酒飯論絵巻』の時代の都市社会」『アジア遊学』172、127-143頁
- 2014年度
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- 「日本中世都市史と法」『法制史研究』64、143-169頁
- 「中近世移行期の都市社会と怪異」『法学論叢』176-2・3、397-427頁
- 「『酒飯論絵巻』の三者と室町期の権力構造」伊藤信博、クレール=碧子・ブリッセ、増尾伸一郎 編。『『酒飯論絵巻』影印と研究』、臨川書店
- 2015年度
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- 「契約・誓約・盟約をめぐる比較史」酒井紀美編『生活と文化の歴史学6 契約・誓約・盟約』竹林舎
- 2017年度
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- 「室町期奈良の都市機能と室町幕府」中世都市研究会編『「宗教都市」奈良を考える』山川出版社
- 「侍所洛中制札の系譜」『法学論叢』182-1・2・3号202-226頁
- 2018年度
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- 「都市民の負担」都市史学会『日本都市史・建築史事典』 丸善出版
- 2019年度
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- 「中世京都の赦免」『身分と経済 法制史学会70周年記念論文集』慈学社出版235-302