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潮見 佳男(しおみ よしお)教授

現在の研究テーマと最近の活動     現在の主たる研究テーマは以下のものであるが、そのほかにも、随時生じる民法上の諸問題(損害賠償法、債権回収法、遺留分法など)に関心を向けて研究している。
@ 契約責任論の再構築  ヨーロッパ契約法原則の公表、ユニドロワ国際商事契約原則の公表、ドイツ債務法の現代化、わが国における債権法改正の動きといった流れの中で、わが国の契約責任・履行障害の法理を現代化するうえで不可欠となる民事責任の基本構造の再構築をめざした研究である。さらに、法制審議会民法(債権関係)部会に幹事として参加し、債権法全般に関する知見を踏まえて債権法の現代化に向けた作業に関与している。
A 著作権と民法法理の交錯分野の研究  著作権侵害を理由とする損害賠償の諸問題、著作者人格権のあり方に関する研究など、従来は専門領域にゆだねられる傾向にあった著作権法の基底にある民法法理を検討し、著作権法理の将来における展開を支える理論的蓄積を目指している。さらに、文化審議会著作権分科会に専門委員として参加し(出版関連小委員会)、電子出版を視野に入れた出版権の規定改正の作業に関与している。
B 国際物品売買契約条約・ヨーロッパ契約法原則・ヨーロッパ私法共通参照枠草案における民法法理の研究  ヨーロッパ契約法原則(PECL)について、その翻訳を共同出版したほか、ヨーロッパ私法共通参照枠草案(DCFR)の共同翻訳の完成に向けた取組みを主宰している。
C 財産権の現代化と財産法制の再編  科学研究費補助金基盤研究(A)の研究代表者として、標記テーマのもと、財産権の現代化の要請に応じた財産権モデルを構築するための基盤研究として、事業財産権、情報財産権、環境財産権、人格財産権について、比較法研究、実態研究、基礎研究を中心とした共同研究をおこなっている。
D 不法行為法の現代化  わが国の不法行為法の制度・規定を現代化するべく、現代社会に生起する不法行為現象を踏まえて、民法制定から110年間の学説・判例の動向、比較法研究等を解析し、その成果をもとに立法化に向けた基本的な考え方ないし指針を示すことをめざして、わが国の不法行為研究者らとチームを組み、共同で研究している。
主要業績 【著 書】
●平成18年度
・『オーレ・ランドー=ヒュー・ビール編・ヨーロッパ契約法原則T・U』(法律文化社[共編訳])
・『法学講義 民法6事務管理・不当利得・不法行為』(悠々社[共編著])
・『民法総合・事例演習』(有斐閣[共著])
・『プラクティス民法・債権総論(第3版)』(信山社)
●平成19年度
・『入門民法(全)』(有斐閣) 1〜541頁
・『法学講義 民法4 債権総論』(悠々社[共編著])
●平成20年度
・『オーレ・ランドー=ヒュー・ビール編・ヨーロッパ契約法原則V』(法律文化社[共編訳])
・『ヨーロッパ私法の展開と課題』(日本評論社[共編])
・『民法総合・事例演習(第2版)』(有斐閣[共著])
・『相続法(第3版)』(弘文堂) 1-363頁
●平成21年度
・『不法行為法T(第2版)』(信山社)1-475頁
・『基本講義債権各論T(第2版)』(新世社)1-366頁
・『基本講義債権各論U(第2版)』(新世社)1-240頁
・松岡久和・潮見佳男・山本敬三『民法総合・事例演習(第2版)』(有斐閣)57-107頁、208-228頁 
●平成22年度
・『不法行為法U(第2版)』(信山社)1-472頁
・『債務不履行の救済法理』(信山社)1-432頁
・潮見佳男・中田邦博・松岡久和編『概説国際物品売買契約条約』(法律文化社) 72-103頁、121-127頁
●平成23年度
・『相続法[第4版]』(弘文堂)1-230頁
・『新版注釈民法10巻U』(有斐閣)1-516頁(北川善太郎執筆部分の全面改訂)
●平成24年度
・『プラクティス民法 債権総論[第4版]』(信山社)1-682頁

【論 文】
●平成18年度
・「適合性原則違反の投資勧誘と損害賠償」新堂幸司=内田貴編『継続的契約と商事法務』(商事法務)165〜188頁
・「『相殺権者』としての債務者−−債権譲渡特例法下での『債権譲渡と相殺』」潮見佳男=山本敬三=森田宏樹編『特別法と民法法理』(有斐閣)39〜66頁
・「総論――契約責任論の現状と課題」ジュリスト1318号81〜86頁
・「損害賠償責任の効果――賠償範囲の確定法理」ジュリスト1318号127〜137頁
・「物権行為と債権行為」椿寿夫・新美育文編『関連でみる民法T』(日本評論社)146〜153頁
・「『学納金返還請求』最高裁判決の問題点(上)(下)」NBL851号74〜80頁、NBL852号55〜65頁
・「『化学物質過敏症』と民事責任論」棚瀬孝雄編『市民社会と責任』(有斐閣)169〜204頁
・「不完全履行と瑕疵担保」椿寿夫・新美育文編『関連でみる民法U』(日本評論社)17〜25頁
●平成19年度
・「第三者による債権侵害」奥田昌道=潮見佳男編『法学講義民法4 債権総論』(悠々社)127〜134頁
・Modernization of German Civil Law and Japanese Civil Law Interpretation, in: Zentaro Kitagawa/ Karl Riesenhuber, Hrsg. The Identity of German and Japanese Civil Law in Comparative Perspectives. pp.57-90.
・Recent Developments in the Law of Succession: Developments in the Doctrine and the Case Law on Legally Secured Portion to the Estate, in: Japanese Reports for the 17 th International Congress of Comparative Law (ICCLP Publications No.10), pp.19-32.
・「自動継続定期預金の消滅時効の起算点――これまでの判例・学説の検討と本判決の評価」銀行法務21・676号4〜9頁
・「消費者金融会社の買収に際しての表明・保証違反を理由とする売主の損害填補義務」金融法務事情67〜70頁
・「因果関係と損害評価――C型肝炎訴訟東京判決をめぐって」判例時報1975号36〜41頁
・「著作権侵害における『間接侵害』の法理」コピライト557号2〜25頁
・「履行不能」内田貴=大村敦志編『民法の争点』(有斐閣)178〜179頁
・「取引的不法行為」内田貴=大村敦志編『民法の争点』(有斐閣)281〜283頁
・「化学物質過敏症及びシックハウス症候群に関する法律上の取り扱い及び訴訟等の状況」公害等調整委員会事務局『化学物質過敏症に関する情報収集、解説調査』142〜173頁
・「投資取引と説明義務―取引交渉における自己決定権侵害と説明義務・情報提供義務―」先物取引被害研究30号90〜102頁
・「消費者契約締結過程の規律に関する日本法の展開――『消費者契約法』以降の動き」Hallym Law Forum vol.18, pp.77-89(大韓民国)
・「贈与・遺贈その他の遺言処分、相続債務の存在と遺留分」野田愛子=梶村太市総編集『新家族法実務大系4 相続U―遺言・遺留分―』(新日本法規出版)388〜401頁
・「遺産分割の瑕疵・解除」野田愛子=梶村太市総編集『新家族法実務大系3 相続T―相続・遺産分割―』(新日本法規出版)366〜386頁
・「請求権競合」遠藤賢治=塩崎勤=潮見佳男=田頭章一=升田純編『民事法T―民法・民事訴訟法―』(民事法研究会)206〜226頁
●平成20年度
・「ヨーロッパ契約法とわが国における民法の現代化」川角由和・中田邦博・潮見佳男・松岡久和編『ヨーロッパ私法の展開と課題』(日本評論社、2008年)339〜367頁
・「ヨーロッパ契約法とドイツ債務法」早稲田大学比較法研究所編『比較と歴史のなかの日本法学』(成文堂、2008年)91〜120頁
・「瑕疵担保責任の法的性質(2)――契約責任説の立場から」法律時報80巻8号16〜23頁
・「国際物品売買条約における売主・買主の義務および救済システム(1)(2)完」民商法雑誌138巻2号160〜198頁、同3号300〜333頁
・「複数債権のうちの一部債権の全額弁済と破産債権査定」NBL891号12〜22頁
・「日本における客観的不能と主観的不能の区別――学説継受とその遺産」ゲルハルド・リース教授退官記念論文集(日本評論社、2009年) 193〜228頁
・「差額説と損益相殺」法学論叢164巻1=6号105〜133頁
●平成21年度
・「債務不履行の救済手段」 法律のひろば 62巻 10号 10-19頁
・「債権法改正論議と取締役の責任 」月刊監査役 565号 62-71頁
・「債務不履行による損害賠償・解除の法理と要件事実論」伊藤滋夫編『債権法改正と要件事実』(日本評論社)78-99頁
●平成22年度
・「運行供用者概念--責任の正当化原理に依拠した概念構築に向けて」 ジュリスト 1403号 20-29頁
・「表明保証と債権法改正論」 銀行法務21・54巻 9号 20-26頁
・「虚偽記載等による損害--不法行為損害賠償法の視点から」商事法務1907号 15-25頁
・「民法(債権法)改正検討委員会試案の概要」日本弁護士連合会編『現代法律実務の諸問題』(第一法規)37-54頁
・「不法行為における財産的損害の「理論」--実損主義・差額説・具体的損害計算」法曹時報 63巻 1号 1-58頁
●平成23年度
・「瑕疵担保責任」法学セミナー679号20頁-23頁
●平成24年度
・「特許権侵害による損害賠償請求と民法;不当利得返還請求等」専門訴訟講座6 特許訴訟・上(民事法研究会)342頁-352頁、397頁-408頁
・「アナログチューナー非搭載DVD録画機の「特定機器」該当性」NBL974号32頁-39頁
・「家族法と財産法」法学セミナー689号22頁-25頁
・「相続分指定・特別受益と遺留分減殺」金融法務事情1952号63頁-73頁
・「適合性の原則に対する違反を理由とする損害賠償」民事判例V6頁-27頁
・「有価証券報告書等の不実表示に関する責任について」法学セミナー695号18頁-21頁
・「資産運用に関する投資家の自己決定権侵害と損害賠償の法理」松本恒雄先生還暦記念論文集513頁-540頁
・「倒産手続における弁済者代位と民法法理」加賀山茂先生還暦記念論文集321頁-352頁

【その他】
●平成17年度
・[判例批評]「取消と現に利益を受ける限度(大判昭和7年10月26日)」民法判例百選T(第5版補正版)88〜89頁
・[判例批評]「種類債権の特定(最判昭和30年10月18日)」民法判例百選II(第5版補正版)12〜13頁
・[判例批評]「将来発生する債権の譲渡(最判平成11年1月29日)」民法判例百選U(第5版補正版)66〜67頁
・[論評]「弁済者代位における二重資格者問題と「頭数一人説」の射程」金融商事判例1218号1頁
・[論評]「民法の『現代語化』と民法の『現代化』――新制度への期待と今後の課題」NBL800号67頁
●平成18年度
・[翻訳]「シュテファン・ローレンツ 現在および将来のヨーロッパ民法の中でのドイツ民法」民商法雑誌134巻2号178〜206頁
・[座談会]「債権法の改正に向けて(上)(下)」ジュリスト1307号102〜131頁、1308号134〜168頁
・[座談会]「新司法試験はロースクールの理念を体現しているか」ロースクール研究4号5〜27頁
●平成20年度
・「民法入門(特集 法学入門2008--入門解説)」 法学セミナー 53巻 4号 22-24頁
・「債権者が物上保証の設定を受けていること等は詐害行為取消権の行使の際の債務者の無資力の判断に影響しないとされた事例(大阪高裁平成18.10.26判決)」金融判例研究 18号 22-25頁
・「複数債権のうちの一部債権の全額弁済と破産債権査定--一部債権の全額弁済と破産手続における『手続開始時現存額主義』」 NBL 891号 12-22頁
●平成21年度
・潮見佳男・三木浩一・山本和彦(他)「日本弁護士連合会 第3回民事裁判シンポジウム パネルディスカッション(1)(2)(3)」 NBL 902号 64-73頁、 903号 71-79頁、905号 76-84頁
・「書評 瀬川信久ほか編著『事例研究 民事法』 」 法学セミナー 54巻 6号 135-135頁
・淺生重機・潮見佳男・濱田広道(他)「座談会 預金者の取引経過開示請求権に係る最高裁判決が金融実務に及ぼす影響 」金融法務事情 57巻 17号 6-36頁
・「立法と現場 債権法改正」法学セミナー 54巻 10号 1-3頁
・大村敦志・潮見佳男・森田修(他)「インタビュー 『債権法改正の基本方針』のポイント--企業法務における関心事を中心に(10)(11)(12)民法(債権法)改正検討委員会・第1準備会 消費者・事業者、履行請求・損害賠償・解除、事情変更」 NBL 916号 28-37頁、917号 37-51頁、918号 58-66頁
・道垣内弘人・池本誠司・潮見佳男(他)「座談会 債権法改正をめぐって--企業実務の観点から」 ジュリスト 1392号 4-45頁
・「民法(債権関係)部会が立上げ 「見所」の多い100年ぶりの私法基本ルールの改正」ビジネス法務 10巻 2号 36-39頁
・潮見佳男・鎌田薫・池田真朗「美術品・骨董品の交換契約」 法学教室 354号 150-155頁
・「金融取引判例と消費者問題」 金融・商事判例増刊号 10-13頁
・「カラオケリース業者の注意義務 ビデオメイツ事件(最高裁平成13年3月2日第二小法廷判決)」著作権判例百選[第4版]206-207頁
●平成22年度
・「運行供用者責任に関する現代的問題」 インシュアランス損保版 4385号 4-10頁
・「『財産全部を相続させる』遺言がある場合の遺留分侵害額算定における相続債務額の加算(最高裁平成21.3.24第三小法廷判決)」 金融判例研究 20号 22-25頁
・「『法学教室』と私」法学教室361号 59-59頁
・大村敦志・鎌田薫・潮見佳男(他)「座談会 法科大学院における民事法教育」法学セミナー 55巻 12号 2-15頁
●平成23年度
・「土地の売買契約締結後に規制された高濃度のふっ素の存在と「瑕疵」該当性(最高裁平成22年6月1日第三小法廷判決)」私法判例リマークス43号38頁-41頁
●平成24年度
・「契約の一方当事者が契約の締結に先立ち信義則上の説明義務に違反して契約の締結に関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合の債務不履行責任(最高裁平成23年4月22日第一小法廷判決)」金融判例研究22号75頁-78頁