京都大学大学院法学研究科・法学部
 

  法学部卒業生からのメッセージ

嶋田 博子 (1986年卒業)
    人事院 事務総局総務課長



 【職 歴】
 1986年   人事院入庁
 1990年   行政官長期在外研究員(英国オックスフォード大学 M.A.)
 1994年   総務庁(現 総務省)人事局参事官補佐
 2000年   外務省 在ジュネーブ国際機関日本政府代表部
          一等書記官
 2011年    人事院事務総局国際課長
  同年     中央大学大学院公共政策研究科
          客員教授[兼任] (〜現在)
 2013年    人事院 事務総局総務課長


【メッセージ】  
 毎年、各府省幹部への登竜門である国家公務員総合職(旧T種)に採用される人の多くが法学部出身ですが、それには理由があります。中央官庁の主たる業務は、時代の変化に沿うように社会の枠組みを不断に見直していくことですが、その政策設計には、法令の制定・改正という手段が 欠かせないからです。    
 私が所属する人事院でも、国家公務員の官民交流や海外派遣、新たな給与体系、高齢対策、育児休業などの政策を進めてきましたが、そのたびに、 あたかも職人さんが工芸品を作るように、何もないところから法文を一行ずつ作り上げる作業に携わりました。解釈の対象としては無味乾燥に見えた行政法や労働法が、創作の知的ヒントを与えてくれる泉のように思える瞬間です。   
 他方で、広範な影響をもたらす国の政策設計に携わる者には、スキルに加え、多様な立場の人々の願いや痛みに対する感性も求められます。机上ではなく、 現場や関係者の間を歩き回って、先入観にとらわれず必要な手立てを考え抜くこと、目先の解決だけではなく、遠い国々への影響や歴史的な意義にも思いを馳せること。 こうした局面こそ、京大法学部の伝統である、哲学的・批判的精神をもって物事に当たる姿勢の面目躍如です。   
 リーガルマインドはまた、世界共通の知的素養でもあります。外交官としてスイスに派遣された3年間、様々な国際機関で働く日本人を増やす交渉を 担当したのですが、難民保護に当たるUNHCRからも、労働者の権利保護を担うILOからも、採用候補者として、語学が堪能かどうかに先だって、 「法学教育を受けた人材」をしばしば指定されました。法学部で身につけた法的な論理力は、国際的な場面でも専門能力として立派に通用するのです。   
 我々が生きる現在の日本も、多くの課題を抱えています。それらを一つずつ解決し、より良い社会に近づけるための武器として、法律を使いこなせるようになって下さい。 特に女性の皆さん、企業でも多くの省庁でも女性というだけで門前払いされた昭和期を知る我々にとって、今はまぶしいほど能力本位の時代、自分の手で新たな政策を実現していくチャンスです。   
 霞ヶ関で一緒に汗をかける日を心待ちにしています。