グローバル化が進む中で,国際取引は飛躍的に活発になり,国際結婚は増え,様々な法律問題が発生しています。たとえば日本人女性がアメリカ人男性と結婚して子をもうけ,アメリカで一緒に生活していたけれども,結婚生活がうまく行かなくなり,夫の同意を得ないまま子を連れて日本に戻ってきたとします。この場合には,妻は,子を監護養育する夫の権利を侵害して,子を不法に国外に連れ去ったことになります。そのため,夫が日本の裁判所に申立てをすれば,ハーグ条約によって,子は原則としてアメリカに返還されます。

国際私法及び国際取引法では,このような国境を越えた私人間の法律問題を扱います。国内事件であれば,日本の裁判所で日本法を適用して解決すれば済みますが,国際的な法律関係においては,どの国の裁判所で提訴し,どの国の法を適用し,どのように解決するかを考えます。国際私法及び国際取引法では,このような問題を扱う際に,各国法と比較しながら日本の法制度の特質も考えますので,日本法を相対化して客観的に見つめ直す貴重な機会にもなります。

国際私法及び国際取引法では,将来,研究者として大学で教鞭をとることを希望する方々を歓迎します。また,実務での重要性が増している分野でもあるため,裁判官又は弁護士をめざす方々,あるいは公務員として法務に携わったり,企業で国際取引に関わったりすることを希望する方々などにも,ぜひ勉強していただければと思います。京都大学で皆さんとご一緒する機会があれば,とても嬉しく思います。

民刑事法(国際私法)/国際私法・国際取引法分野
中西康
西谷祐子

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