日本の法学では、外国の法を研究対象にしたり、複数の国の法を比較対照してみたりすることが盛んに行われます。もちろん、皆さんもおそらくご存知のとおり、法は国によってかなり違います。そのため、外国法を勉強するメリットはどこにあるのかと疑問を持つかもしれません。外国法など学んでみても、日本法の勉強にとっては何の役にも立たないのではないか、と。

しかし、実のところ、外国法や比較法を学ぶことから得られるものはたくさんあります。1つには、グローバル化が進む世界において、国際取引や国際結婚などのように、複数の国の法が関わってくることが少なくありません。こうした場面では、外国法の知識を持っていることはきっと役に立ちます。しかし、それだけでなく、日本法それ自体を理解するためにも、外国法の知識やそれとの比較が役に立つこともよくあります。と言うのも、ある問題についての異なるアプローチや解決方法を知ることを通じて、日本法が採用しているルールの意味や特徴、利点や欠点をよりよく理解できるようになることがあるからです。また、新しくルールを作る際には、先行する外国法のやり方を参考にし、そこからインスピレーションを得ることがとても重要になります。さらに、――少し大げさに聞こえるかも知れませんが――世界の人々が互いを理解し合うというもっとスケールの大きな目的のためにも、外国法・比較法の営みは寄与しうるかも知れません。同じ人間が暮らしている以上、世界のどこでも似たような問題が起きるわけですが、そうした問題にそれぞれの国や地域の法がどう対応するかは、文化、歴史、宗教、社会構造、経済状況といった様々な要素によって影響されます。外国法・比較法の学びによって、そうした違いとその背景を理解することができれば、異なる国・地域の人々が互いの価値観を理解しあい、距離を縮めることにもつながっていくのではないかと思います。

学生の皆さんには、以上のようなことを頭の片隅に置きつつ、広い視野をもって外国法・比較法の学習をしてもらえたらと思います。私たちはその手助けをすることができ、また一緒に学ぶことができるのを楽しみにしています。

外国法・比較法横山 美夏
コツィオール・ガブリエーレ

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